それでも私は命を救いました。
京都大学 鯉江 宏樹 学生
僕は4月に看護師として就職を控えている看護学生です。
学生の間に何度も救急のワークショップに参加して、BLSやAEDの使い方について知っているつもりでしたが、まさか自分が実際にAEDを使うとなんて、思ってもみませんでした。 その日、僕はドライブをしていました。 雪のちらつく寒い日でした。 その時、歩道で1人の男性が倒れていました。 姿がはっきり見えたとき、その方はしゃくりあげるような呼吸(死戦期呼吸)をしていました。 「勉強会で習った心停止の呼吸かもしれへん…!」そう思ったときには、無意識に車を止めて男性のほうに必死で駆け寄っていました。 駆け寄ったときには既に10人ほどの人だかりが。 「脳卒中?」「なんだろう」「どうしたらいいの?119番?」と、皆のざわめく声。 無意識のうちに男性に駆け寄り、「大丈夫ですか!?」と声をかけていました。 反応がない!「この方は正常な呼吸ではなく心停止なので皆さん助けてください!」と声をかけると、「119番は今呼びました!」「何かできることはありますか?」とたくさんの声。 「AEDお願いします!」と僕は言い、呼吸の確認をした後、すぐにCPRを開始しました。
あんなに勉強会でやったことがあったのに、胸骨圧迫をしている間も手の震えが本当に止まりません。
今この手を止めたら、この人が死ぬ。 という思いがずっと頭から離れなくて、それが余計に僕の恐怖を駆り立てていたのだと思います。 陸上競技場のすぐ近くだったので、2~3分ですぐにAEDが到着しました。 パッドを取り出し、男性に貼りました。 心電図解析が始まり、「ショックが必要です」とのアナウンス。 そして、ショック。 ショック前後、そこでまるで何も起こっていなかったかのように、周りは静寂に包まれていました。 すぐにCPRを再開し、2度目の心電図解析。 ショックは不要のアナウンス。の時、足が明らかに動いている…!と分かり、1度胸骨圧迫を止めました。 女性の方に「脈は?」と聞かれ、とっさに頸動脈を触りました。 何と…脈がありました!それと本当に同時に救急隊の方が到着され、引き継ぎを行いました。 救急車の中では既に意識が大分回復し、見当識も保たれていたとのことです。
後日分かったことですが、その傷病者の男性は後遺症もなく無事に社会復帰されたそうです。
それを聞いて泣いて喜びました。
正直、救命時の気持ちとしては、怖かった、気が動転して頭が真っ白、助けたい!、の3つに尽きます。 あと、振り返ってみて、自分に起こった感情の中で重要だったなと思ったのは、傷病者を発見した時に、車を止めて、「今行かなければ」と思えた勇気だと思います。 ワークショップを開催された先輩方の顔と言葉「One step forward(1歩前へ)」という言葉が頭をよぎりました。 だからこそ、一歩前へ踏み出せたのかな、と思います。
学生の間に何度も救急のワークショップに参加して、BLSやAEDの使い方について知っているつもりでしたが、まさか自分が実際にAEDを使うとなんて、思ってもみませんでした。 その日、僕はドライブをしていました。 雪のちらつく寒い日でした。 その時、歩道で1人の男性が倒れていました。 姿がはっきり見えたとき、その方はしゃくりあげるような呼吸(死戦期呼吸)をしていました。 「勉強会で習った心停止の呼吸かもしれへん…!」そう思ったときには、無意識に車を止めて男性のほうに必死で駆け寄っていました。 駆け寄ったときには既に10人ほどの人だかりが。 「脳卒中?」「なんだろう」「どうしたらいいの?119番?」と、皆のざわめく声。 無意識のうちに男性に駆け寄り、「大丈夫ですか!?」と声をかけていました。 反応がない!「この方は正常な呼吸ではなく心停止なので皆さん助けてください!」と声をかけると、「119番は今呼びました!」「何かできることはありますか?」とたくさんの声。 「AEDお願いします!」と僕は言い、呼吸の確認をした後、すぐにCPRを開始しました。
あんなに勉強会でやったことがあったのに、胸骨圧迫をしている間も手の震えが本当に止まりません。
今この手を止めたら、この人が死ぬ。 という思いがずっと頭から離れなくて、それが余計に僕の恐怖を駆り立てていたのだと思います。 陸上競技場のすぐ近くだったので、2~3分ですぐにAEDが到着しました。 パッドを取り出し、男性に貼りました。 心電図解析が始まり、「ショックが必要です」とのアナウンス。 そして、ショック。 ショック前後、そこでまるで何も起こっていなかったかのように、周りは静寂に包まれていました。 すぐにCPRを再開し、2度目の心電図解析。 ショックは不要のアナウンス。の時、足が明らかに動いている…!と分かり、1度胸骨圧迫を止めました。 女性の方に「脈は?」と聞かれ、とっさに頸動脈を触りました。 何と…脈がありました!それと本当に同時に救急隊の方が到着され、引き継ぎを行いました。 救急車の中では既に意識が大分回復し、見当識も保たれていたとのことです。
後日分かったことですが、その傷病者の男性は後遺症もなく無事に社会復帰されたそうです。
それを聞いて泣いて喜びました。
正直、救命時の気持ちとしては、怖かった、気が動転して頭が真っ白、助けたい!、の3つに尽きます。 あと、振り返ってみて、自分に起こった感情の中で重要だったなと思ったのは、傷病者を発見した時に、車を止めて、「今行かなければ」と思えた勇気だと思います。 ワークショップを開催された先輩方の顔と言葉「One step forward(1歩前へ)」という言葉が頭をよぎりました。 だからこそ、一歩前へ踏み出せたのかな、と思います。