ASUKA モデルは、チームの想いです。
PUSHプロジェクト メッセージビデオあなたにしか救えない大切な命 ~君の瞳とともに『ASUKAモデル版』公開にあたって
2011年9月、さいたま市の小学校で6年生の桐田明日香さんが駅伝の課外練習中に倒れ、死亡するという事故がありました。 検証の結果、明日香さんが倒れた直後に「けいれん」や死戦期呼吸と呼ばれる「ゆっくりとあえぐような呼吸」があったために、教師らは心臓が止まっているとは思わずに、校内にあったAEDを使わなかったことがわかりました。
この事故の反省をふまえ、さいたま市教育委員会はご遺族と共に、「体育活動時等における事故対応テキスト:ASUKAモデル」を作成しました(http://www.city.saitama.jp/003/002/013/002/p019665.html)。
この事故は、決して他人事ではなく、どこでも起こりうることです。
このテキストで強調されているポイントは、反応の確認、呼吸の確認など心停止の判断をする際に、「判断ができなかったり、迷ったら、胸骨圧迫とAEDの使用に進む」ということです。
心停止への対応は、時間との勝負ですので、無駄な移動などはせず、「現場で」迅速に救命処置を開始する必要があります。そのために教師はもちろん、児童・生徒に対する心肺蘇生講習を充実させることや教師が携帯電話を携帯することなど、日々の危機管理体制の構築も求めています。
このテキストは、学校以外の組織・施設でも、突然死に対する対応マニュアルとして非常に実践的で役立つものだと思いますので、学校関係者の方はもちろん、それ以外の方々も、ぜひ、ご覧ください。
PUSHプロジェクトでは、明日香さんが残してくれたメッセージをできるだけ多くの方、特に学校関係者の皆様に知っていただくために、ご遺族、さいたま市教育委員会、楽曲を提供して下さっている青木まり子さんらのご協力を得てこのビデオを作成しました。
ご遺族と教育委員会が協力し、悲しい出来事を繰り返さないために客観的な検証と議論を繰り返して作成された、このテキストが全国の学校で活用され、多くの命が救われることを願っています。
2014年7月 NPO 大阪ライフサポート協会 PUSHプロジェクト
PUSHプロジェクト ホームページ
http://osakalifesupport.jp/push/
桐田寿子様からのメッセージ
9月30日は明日香の命日であり、ASUKAモデルが生まれた命の日でもあります。
明日香は、多くの人達の再発防止という想いと、お力により、ASUKAモデルに生まれ変わり、大好きな学校へ登校していきました。
ヒューマンエラーの視点を含む分析作業を経て、その対応策の一つとして抽出されたものがASUKAモデルとなる事故対策のテキストです。
ASUKAモデルは、学校現場で活用しやすいように適時改定していきます。子供達が安心して学校生活が送れるように、ASUKAモデルも成長していきます。
校庭で倒れた明日香が、私達夫婦にとって何よりも大切な人だったように、目の前で倒れた人は、誰かにとって、かけがえのない大切な人なのです。 その人の命・予後を変えるのは、その場にいる、あなたの勇気と行動なのです。 救急隊・病院では、救えない命なのです。まさかの時に「あすかちゃん」と思い出し、勇気と行動につながった時こそ、明日香は、みんなの心に生き続けている証拠だと思います。
このASUKAモデルが学校現場で活用され、一人でも多くの命を守るために、さいたま市は、今年度より小学校からの心肺蘇生の授業を行います。 小学校に心肺蘇生の授業を取り入れることで、多くの子供達が、早い時期からBLSについて知ることは、人が倒れた時にその場にいる人が何を出来るかを考えて行動することや、いじめや自殺問題などを含めた命の大切さを学ぶことが出来るという点で意義のあることだと思います。
さいたま市で、育った子供達は、迷わず人を救う行動をとれるといった社会的に大きな役割を持てる人に育っていけると思います。
突然死によって起こる、悲しみの連鎖は、こうした取り組みによって断ち切りたいと、切に願います。
ASUKAモデルは、「みんなを守れる学校」という願いを共有する人のチームなのかもしれません。 今も、これからも、子供達の命を守るため、明日香は、人と人をつないでいくと思います。