心停止でもAEDが有効ではないことはありますか?
「心停止(心肺停止)」とは、心臓がポンプとしての機能を失い、意識や反応が無く、呼吸もない状態のことです。これには大きく分けると二通りあります。
第一は、心臓の筋肉が(心室細動と呼ばれる重篤な不整脈などで)細かく震えてしまい、ポンプ機能を失った状態です。この状態は、心臓のリズムを電気ショックでリセットし、不整脈による心臓の細かい震えを取り除くことが出来れば、救命出来る可能性が相当高いといえます。AEDはこの電気ショックが必要な状態(つまり心室細動による心停止)か否かを判断し、必要な時に「電気ショックが必要です」と教えてくれます。
第二は、心臓の働きが極端に弱くなるか、全く止まってしまった状態です。心臓の働きとは、十分な血液を脳や全身に送ることです。これが、例えば大量出血などの理由で血圧が極端に下がった場合には、その機能を果たせません。全く止まってしまった状態も同じです。この状態でAEDを装着すると「電気ショックは不要です」とアナウンスされます。電気ショックは不要ですが、心停止状態であることに変わりはなく、脳や全身に血液を送らなければなりませんので、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う必要があります。
つまり全ての心停止に、AEDによる電気ショックが有効な訳ではありません。しかし、心停止状態の人にAEDを装着すれば、このふたつのうちのどちらのタイプが起こっているのかを判断し、必要な時に電気ショックをするように指示してくれますので「AEDは有効」だといえます。従ってどのような状況でも心停止を疑ったら、直ちにAEDを使用してその指示に従うことが必要です。
加えて重要なことは、電気ショックが行われた後も、救急隊が現場に到着するまで(あるいは傷病者が嫌がるような仕草など何らかの反応を示すまで)胸骨圧迫を続ける必要があるということです。電気ショックが行われた後でも胸骨圧迫が必要なのは、電気ショックで、すぐに力強い心臓の収縮が得られる訳ではないからです。
たまたまその場に居合わせた市民による、胸骨圧迫とAEDの使用が重要なことをご確認ください。